![外観](https://suzuken.archi/ja/wp-content/uploads/2016/08/MG_0187-700x466.jpg)
あい天正堂鍼灸院
Ibaraki, Osaka, JP 2014
旧街道沿いに建つ古い店舗併用住宅を改修しています。旧街道の雰囲気に合わせながら、東洋医学の治療院としてのアイデンティティーを連続する横格子で表現しました。近隣の方々と自然なコミュニケーションが生まれるように受付スペースをオープンな人溜まりの空間となるよう設計しています。
築40年の建物の改修工事
場所は大阪府茨木市の旧街道沿いにあります。この建築は古い商店併用住宅の改修です。もともとはガス取扱店だった店舗で、全面アルミサッシにシャッターという一般的なテナントスペースでした。今回の計画ではそのテナント部分の改修工事を行いました。築年数は約40年、無機質な表情のこの建物をどのようにお施主様の要望と周辺環境に合わせたデザインにしていくのかを主題にして設計を進めていきました。
本格的な鍼灸院の佇まい
お施主様は鍼灸院の先生をされているご夫婦です。本格的な東洋医学の医院としてこの地に鍼灸院を開設したいということがご要望としてありました。対処療法的なものではなく、治療により完治してもらうため医院なのでその考えに相応しい佇まいにしたいというのがご要望です。お施主様の主張が体現出来るようなデザインはどのような佇まいか、悩みながらもオープンまでの日程を逆算しながら設計を進めていきました。
古い建物の残る旧街道沿いに建つ
この既存建物は、京都まで抜ける旧街道沿いに建っています。近くには桜の名所となっているお寺があり道は旧街道らしく緩やかに蛇行しています。近隣には土壁の蔵が残り、塀は漆喰で塗り固められたものも多くとても風情のある風景がここかしこに残ります。この場所の雰囲気と、本格的な医院としての鍼灸院のストーリーを絡めるデザインに苦心しました。最終的に昔から時を重ねて続く人の往来を、横格子の水平方向への流れのイメージに投影し、それらがいくつも折れ重なっていることで、歴史的な時間の重厚さと格子による東洋的な繊細さを表現することとしました。
地元にUターン、コミュニティーの核となる治療院を目指す
その横格子の流れは、外部の佇まいを形成するだけでなく、内部空間にも入り込みインテリアも担っています。それは、単に内外のデザインを統一するという意味ではなく、人の流れを内部に引込み、小さな溜まりの空間を作りたかったのです。これはお施主様が、久々に地元に戻りこの鍼灸院を開業されるという経緯のなかで、なるべく多くの方とコミュニケーションを図り、改めて地元へ浸透していきたいという要望から考えました。近所の人が道すがらちょっと寄って体の調子について話したり、ちょっとお茶を飲んで休んでもらえるような空間を目指しました。
シンプルで安価な材料と工法で最大限の効果をもたらす
このデザインと要になる横格子は、出来るだけシンプルな工法で、出来るだけ安価な材料で構成することでコストを抑えています。工法に関しては、単純に積み上げていくだけです。必ずくの字に組み合わせることで、自立することが可能で、固定もビスのみです。材料は根太材に使用する下地用の安価な木材の組み合わせによるものです。横格子のパターンの繰り返しによる独特の奥行き感により東洋的な雰囲気を醸しだし、小さくとも豊かなコミュニティーの核を目指した鍼灸院としてデザインしました。
![外観](https://suzuken.archi/ja/wp-content/uploads/2016/08/MG_0032-656x437.jpg)
![外観](https://suzuken.archi/ja/wp-content/uploads/2016/08/MG_0187-656x437.jpg)
![受付スペース](https://suzuken.archi/ja/wp-content/uploads/2016/08/MG_0119-656x437.jpg)
![受付スペース横格子詳細](https://suzuken.archi/ja/wp-content/uploads/2016/08/MG_0063-656x437.jpg)
![受付スペースベンチ](https://suzuken.archi/ja/wp-content/uploads/2016/08/MG_0157-656x437.jpg)
![外観 夜景](https://suzuken.archi/ja/wp-content/uploads/2016/08/MG_0198-656x437.jpg)